お子様の進学から始まった、京都で家族にちょうどいい住まいづくり

設計士の檜垣です。
今回は、完成した新築注文住宅 N様邸(京都市南区)について、担当設計士のわたしから設計の工夫やエピソードをご紹介します。
「今のマンションは、駅近で広さや使い勝手もちょうどいい。子どもの進学のため引っ越すことになったけど、今よりもいい家になるのか…」
お気に入りの分譲マンションからお住み替えされたN様。これまでの生活に満足されており、京都市内で新たに家を建てることに対しては、期待よりも「本当に今より良くなるのだろうか?」という心配が大きいのかなというのが第一印象でした。
当時お住まいだったマンションを拝見し、お気に入りのポイントを押さえつつ注文住宅ならではの”遊び”とのバランスを重視しながら進め、完成に至りました。

最初に決まっていたのは「グラフテクト」のキッチンと収納計画
最初のヒアリングで印象的だったのは「キッチンは、グラフテクトのデュエアイランドをベトングレーで入れたいんです。」と、おっしゃったことです。
「ベトングレーは素材感と高級感のある落ち着いた色味。これはホテルライクな家になりそうだな。」と思いましたね。

また、収納についても強いこだわりが感じられました。
「帽子はどこに収納しようか。帰ってきたらカバンはここに置きたい。ちょうどいい収納はありますか?」と、物の住所を決めることで、設計段階から散らからないルールづくりを目指しておられました。
「帽子なら奥行きはそんなにいらないので、この壁に薄めの収納スペースを増設しましょう。」など、具体的な話をしながらできるだけたくさんの収納スペースを用意しました。




全体のイメージは「ホテルライクな家」
吹き抜けのあるホテルライクな分譲マンションにお住まいだったN様。新しいお家もお気に入りの雰囲気を引き継ぎたいとお考えでした。
「グレーが好き。木目はなるべく使いたくない。」とのご希望を踏まえ、床や建具もグレー・白・黒で色調を統一しました。




また、階段前の壁や2階リビングの入口まわりには、角を丸く取る加工を施し、全体の印象が柔らかくなるよう設計の工夫をしています。角を取ることで「人の手が加わった空間」という微妙なニュアンスを与えることができ、ちょっとしたことですが印象の違いを生みます。


家族時間を楽しむ注文住宅ならではのジャグジー
サンエーのThe Resortシリーズをご覧いただいており、「ジェットバスを設置したい!」というご希望もありました。
3階の東面にテラス&ジャグジーを計画。天候に左右されずお外空間が楽しめるよう、出入り口となる窓側から手前半分には屋根をつけたハーフインナーバルコニーとしました。ジャグジーは夜空の下で満喫できるように、屋根のない場所へ設置しています。

北側の壁はプロジェクター用に白く仕上げているのもポイントです。昼夜問わず、くつろぎの時間を過ごせる場所になりました。
外観のこだわり
家づくりにおいて、一番人の目に触れる部分は外観です。外観が与える印象をしっかり整えることは、身だしなみを整えることと似ています。だからこそ、通りがかりの人の目にも触れる「外の顔」に気を配ることの重要性は高いと思うんです。
N様邸の場合、「外観には木を使いたい」とご要望があったので、軒天から壁面のあしらいがスムーズにつながるよう設計の工夫を施しています。住宅設計のこだわりが正確に反映されるよう、現場監督を通して職人さんとしっかり打ち合わせを行いました。


お客様は住宅設計のプロじゃない。だからこそ、細やかな気配がしたい。
外観の軒天の部分もそうですが、LDKにあるヌックも、現場監督・職人さんと連携し収まりを微調整しています。

意外に思われるかもしれませんが、この辺りはしっかりと現場と連携しないと「あれ、飛び出してる(へこんでる)… 」ということになりかねないんです。
SNSである「注文住宅で指定しないと後悔する○選」という投稿は、この辺りの気配りができるかどうかで生まれるのかなと思います。
お客様は家づくりのプロではありません。だからこそ、プロであるわたしたちがお客様のご要望をしっかりと図面に落とし込み、細やかな気配りを忘れずお客様に代わって現場と丁寧な確認を行うことが大切です。日々、様々なご要望を受けながらそのことを痛感しています。
おわりに
「今の暮らしよりも良くなるのか?」という不安から始まった家づくり。
お引き渡しは、外観をご覧になったN様から「この木の雰囲気、すごくいい!」とお喜びの言葉から始まり嬉しい時間となりました。
N様この度は、竣工誠におめでとうございます!