神様が宿る吉田山と五山送り火の伝統を受け継ぐ浄土寺エリア|この街の住みやすさは?

こんにちは。京都の魅力を伝えるライター・まる きょうこです。
京都が大好きで約10年前に子連れで千葉県から移住、関東圏からの移住者ならではの視点で京都の魅力を伝えています。
京都市内で注文住宅をご検討の方は「このエリアって、どんなふうに楽しめるのかな?」と気になりますよね。
この連載コラムでは、わたしが見つけた京都市の魅力を土地の歴史から公園などのお散歩スポットまで詳しくお届けします。
京都市内で土地探しをしている方は、注文住宅を建てるエリア選定の参考になさってくださいね。
さて、今回ご紹介するのは、情緒と落ち着いた雰囲気が魅力の吉田山・浄土寺エリアです。
[ 目次 ]
吉田山と浄土寺エリアについて
吉田山・浄土寺の土地は、緑豊かな住環境でありながら、京都市左京区で注文住宅を建てたい方に人気のエリア。ここでは、地域の概要をご紹介します。
吉田山は、左京区吉田神楽岡町にあります。

山といっても標高100メートルほどの小高い丘。地名にもなっている神楽岡(かぐらおか)がもとの名前で、神々が集う神聖な土地を意味するそう。

吉田山には、藤原氏によって建てられた吉田神社が鎮座しています。

平安京の北東にあることから、「鬼門封じ」の役割も持つ都の守り神です。
鬼門封じの「鬼」といえば、2月に吉田神社で行われる節分祭が思い出されます。鬼を追い払う迫力満点の神事「追儺式(ついなしき)」や、参道にずらりと並ぶ屋台などを目当てに多くの人が訪れ、私も毎年楽しみにしている行事です。
そして吉田山の東側に広がるのが、左京区浄土寺と呼ばれる地域。

地名は平安時代に天台宗の『浄土寺』というお寺が存在したことに由来するそう。
跡地に銀閣寺が創建された室町時代あたりから、周辺には集落ができ、浄土寺村となりました。銀閣寺のそばには浄土寺の草堂が『浄土院』として残っています。

浄土院は、五山の送り火のなかでも如意ケ嶽の「大文字送り火」の儀式を執り行う寺院。「大文字寺」とも呼ばれ、浄土寺村の人々とともに長く伝統を守ってきたそうです。
現在の浄土寺地域は、銀閣寺や哲学の道などの有名な観光地が近くにありながらも、落ち着いた町並みが魅力です。
【吉田山】 神社めぐりや自然を満喫
ここからは、吉田山の楽しみ方をご紹介します。
子どもも遊べる吉田山公園
吉田神社の前にある坂道を登っていくと、遊具のある吉田山公園が現れます。左京区に住む私も、子どもと何度もピクニックに訪れた場所です。

ベンチやトイレがあり、安心して子どもと出かけられるスポット。近くにある幼稚園の子どもたちの姿もよく見かけます。
また吉田山公園は、夕陽がきれいな場所としても知られています。ぜひ夕暮れ時に吉田山に登って、京都の夕焼けを眺めてくださいね。
桜や紅葉の時期に訪れたいスポット
自然が美しい吉田山は観光客が多くないので、桜や紅葉の時期もゆったり楽しめます。
特におすすめしたいのが、吉田神社の末社である竹中稲荷神社。吉田山公園の脇にある神社です。

紅葉はもちろんのこと、春には参道に桜のトンネルができてとっても幻想的。
また、吉田山の東にある宗忠神社の階段も、密かな絶景スポット。ここから見下ろす景色は私も大好きな眺望です。

道の向かいにある真如堂も桜や紅葉の名所なので、両方訪れれば季節ごとの景色をたっぷり楽しめますよ。
お参りしたい珍しい神社
吉田山には、吉田神社以外にも個性的な神社がたくさん集まっています。
お菓子好きな人や、お菓子作りをする人におすすめなのが菓祖神社。

日本で初めて餡入りのお饅頭を作った林浄因(りんじょういん)を祀っています。午前中の早めの時間に行くと、菓祖神社の鳥居の背後から朝日が昇り、神秘的な光景を見ることもできますよ。
次に、料理の神様を祀る山蔭神社。

吉田神社を創建した藤原山蔭は、日本で初めて調理・調味をした人物ともいわれています。その山蔭を祀り、京都の飲食店の信仰を多く集める神社です。山蔭神社の辺りは見晴らしも良いので、参拝と合わせて景色も楽しんでください。
そして全国の神様を祀る大元宮。

吉田神社の神官が創設した「吉田神道」の思想に基づき、「始まりの神」を中心にして、八百万の神々をぐるりと配置しているユニークな神社です。
ここでお参りすれば、全国の神社に参拝したことになるのだとか。
ふだんは門の外からの参拝ですが、節分と月の始まりには敷地内に入れます。
徒歩圏内に風情ある住宅街の神楽岡町

吉田山の東斜面には、趣ある住宅街が広がっています。
五山の送り火で有名な如意ヶ嶽を望めるロケーションもあってか、昔から公家の山荘が建てられることも多かったこのエリア。京都大学が創立した明治末から大正時代には、大学関係者向けに高級住宅街が開発されたそうです。
特に実業家の谷川茂次郎氏が造営した「吉田神楽岡旧谷川住宅群」は、歴史的にも貴重な景観です。

送り火が見えるよう、住宅はすべて東向きに建てられているのだとか。
京都にまだこんな隠れた名所があったのかと思うような静かな場所です。住宅は今も現役で使われているので、そっと訪れてくださいね。
【浄土寺 】 風情ある文化エリア
浄土寺と呼ばれる地域は今出川通りより南、吉田山の東側から哲学の道辺りまでを指します。ここからは、浄土寺の町の魅力についてご紹介しましょう。
水とともにある浄土寺エリアの暮らし
浄土寺エリアといえば、水の流れる風景が印象的です。

この辺りにどこか懐かしい雰囲気があるのは、比叡山から流れる白川が町に潤いを与えているからこそ。かつては水害もあったそうですが、京都市が改修事業を積み重ねたおかげで、今は穏やかな小川となっています。
また、この白川と今出川通りで交差しているのが、哲学の道から北白川へと流れる琵琶湖疎水分線の白川疎水。

京都市の南から標高の高い北へ向かって流れていく珍しい疎水です。哲学の道付近は観光客で混雑しますが、疎水を北へとたどれば静かな散歩道が続くので、左京区に住むなら休日のお散歩におすすめですよ。
読書付き必見!個性的な本屋が揃う本の町
浄土寺エリアには個性的な本屋がいくつもあります。
なかでもユニークなのが、白川沿いにある『ホホホ座浄土寺店』。

書籍だけでなく、カラフルな雑貨や食品が並ぶ賑やかな書店。ローカルマガジンや同人誌など「リトルプレス」と呼ばれる出版物も多く取り扱い、珍しい本に出会えます。
今出川通りに面した『古書善行堂』は、青いひさしと木の引き戸が印象的な古書店。

古本好きで古本ソムリエの異名を持つ店主さんが始めたお店です。また古本だけでなく、一人出版社の本など、こだわりの新刊も扱っています。
ほかにも近隣には魅力的な個人書店が揃っているので、お気に入りの本屋さんを見つけてみてください。
また、読書スポットとして立ち寄りたいのが私設図書館。善行堂にも近い今出川通り沿いにあります。

その名の通り「私設」の図書館で、昭和48年から営業しているそう。とにかく静かな空間で、自習室として利用する学生も多いよう。本の世界に深く浸りたいときにおすすめです。
休日は人気の観光スポットを散策

浄土寺周辺の魅力といえば、人気の観光スポットがすぐ近くにあること。季節や時間を選べば、落ち着いた散策も十分楽しめます。
足利義政ゆかりの銀閣寺は、このエリアを代表する観光名所。金閣寺より「侘び寂び」を感じられる銀閣寺のほうが好き、という人も多いですよね。

境内は苔むした自然の美しさが魅力で、季節ごとに庭園の表情が変わるので、何度も訪れたくなる場所です。
近くにある『白沙村荘 橋本関雪記念館』もおすすめです。

日本画家の橋本関雪は、浄土寺エリアを愛した人物。哲学の道に300本のソメイヨシノを寄贈したことでも知られています。
そんな関雪が建てた邸宅がこの白沙村荘。彼の作品はもちろん、自ら造営したという日本庭園は大文字山を借景にしていて一度は訪れたい美しさ。
また、哲学の道から一本山側は静かな道で、法然院などの味わい深いお寺もあります。

左京区エリアに住む方には、ふだん通らない道を歩いて自分だけのお気に入りスポットを探すのも楽しみのひとつになりそうです。
吉田山・浄土寺エリアならでは!レトロでクラシカルなカフェ
吉田山と浄土寺エリアには、趣のあるカフェも点在しています。レトロでクラシカルな気分に浸れる、とっておきのカフェをご紹介しましょう。
ツタの絡まる洋館カフェ『ゴスペル』

鹿ヶ谷通りに佇むゴスペルは、クラシカルな洋風建築が人気のカフェ。元々は個人の邸宅として使用されていた建物で、1階が予約制の『喫茶 迷子』、2階が『ゴスペル』となっています。
店内はクラシック音楽が流れ、アンティーク家具に囲まれた優雅な空間。温かみのあるキッチンやステンドグラスなど、「これから建てる注文住宅をクラシカルな雰囲気にしたい!」という方の参考になりそうなインテリアもたくさんありますよ。
座席の配置が広々としているので、周りを気にせず大切な人とゆっくり会話をしたいときにぴったりです。
皇室ゆかりの『吉田山荘 カフェ真古館』

吉田山の中腹にある吉田山荘は、昭和天皇の親族が別邸として使用していた由緒ある建物。現在は料理旅館となっています。
そしてドイツ様式の二階建て車庫を利用してオープンしたのが、同じ敷地内にあるカフェ真古館。

建物は、本館や門と合わせて国の登録有形文化財に登録されています。窓からは大文字山も見え、緑豊かな周囲の景色にホッとくつろげるカフェ。美しい字で綴られた和歌とともに提供されるメニューにもうっとり。
「自然とつながる、落ち着いた暮らしがしたい」と思う方には、良いインスピレーションがありそうです。

現在は完全予約制で営業日も限られていますが、ぜひ一度は訪れていただきたい素敵な空間です。
吉田山山頂に佇むカフェ「茂庵」

吉田山の山頂にある茂庵は、大正時代、この地一帯に茶苑として造営された建物の一つを利用したカフェです。
最盛期には8つも茶室があり、大茶会が開かれたこともあったのだそう。現在は2つの茶室と、カフェ茂庵として使われている旧点心席が残り、京都市の登録有形文化財に指定されています。

カフェ茂庵は一度閉店したのち、2023年に再オープン。
現在は予約優先で営業しており、空いていればふらりと立ち寄ることも可能です。山の中のため、雨の日などは穴場ですよ。
店内は四面すべてが窓になっており、山頂からの景色を一望できる建築デザインも魅力。山の木々に囲まれた静かな空間で、特別な時間を過ごせるカフェです。
吉田山・浄土寺エリアで歩きたくなる日常を
今回は、京都市左京区の吉田山と浄土寺周辺の魅力やおすすめスポットをご紹介しました。
情緒と落ち着きのある雰囲気を楽しめるこのエリアでは、ゆったりとした生活ができそうです。
このエリアが気になる方は、まずはお散歩に訪れてみてはいかがでしょうか。
本記事でご紹介したスポットもぜひ参考に、この町を歩いてみてくださいね。
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